SSブログ

仙台平野の海岸防災工事 [津波被災地復興]

仙台平野の防災工事(国交省の防潮堤工事と林野庁の海岸林工事)が、なんだかんだ急ピッチで進んでいます。緊急性重視・低コストというのはわかりますが、これではあまりにも生き物に対する配慮も、地元のこれから維持管理していく担い手の影も薄いやり方に、大きな疑問を感じました。
みなさんはどう思われますか?既に地元の議会を通っていることもあり、変更は殆ど困難との話です。2013_0522_085152.JPG

宮城県南の亘理町では、わたりグリーンベルトプロジェクトという地元の団体を訪ねましたが、町役場とも協働しながら自分たちで何度もWSを重ねて計画を作っていますが、ぜんぜん認めてもらえてないようで、いま私たちも微力ながら側方支援できないかと考えているところです。

今回は4月5月と巡検した報告を簡単にさせていただきます。5月は南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリングネットワーク
の先生と同行しました。

まずは11月に大々的に植樹祭を行ったボランティア団体との協定による植樹場所(仙台荒浜小学校北)です(写真は4月)。
2013_0412_163125.JPG

こちらは、そこから海寄りの林野庁の植樹です(4月)。
2013_0412_164324.JPG

同じ場所の1ヶ月後です。枯れは更に広がっていますねえ。。。
2013_0522_084409.JPG
やはり防風柵をケチり過ぎたのでしょうか。はたまた苗が悪いのか、植え方がダメなのか・・・多分防風柵の幅が広過ぎで、しかも直行する柵もないことが原因だと専門家の方から伺いました。

一番西側は冬の季節風でヤられたのでしょう。西側に柵がないですから・・・
2013_0522_084711.JPG

植えたクロマツ苗が大量に枯れていることは問題ですが、それよりもそこに残っていた生物が排除されて単調な空間を作り出したことで、貧弱かつ外来種天国な環境が一挙に出来上がっていくことなどです。先生が真摯に提言などを行ってきてるのに、まったく活かされていない(とおっしゃてました)という状況のようです。

防潮堤との間に未施工エリアがあり(防潮堤工事が終わったので、これから施工されるでしょう)、そこには海浜植生が少し残っていました。
2013_0522_085719.JPG
2013_0522_085700.JPG

そして外来種ハリエンジュも旺盛に成長しており、今後が危惧されます。
2013_0522_091042.JPG

また海岸林工事の盛土には外来草本が既に侵入してきていて、マツを植えている平地部分も含め外来種が近々繁茂することが、容易に想像できる状況です(2013年4月)。
2013_0412_163831.JPG

次にひとつ南に行って、名取です。防潮堤、立派です。彼方までキレイに出来ちゃってます。これで勢いを減じることができるのでしょうか??超えなきゃ100点ですが、超えたら0点かそれ以下と思いますが・・・
2013_0522_163446.JPG
2013_0522_164052.JPG

海岸林工事の盛土も延々広がっています。
2013_0522_164059.JPG
2013_0522_164814.JPG

こんなにチップ敷いちゃってますが、どうなんでしょう??少なくとも砂浜環境には戻らないですね。
2013_0522_164743.JPG
砂の中には微生物も少なく、簡単には分解されないですし、窒素飢餓も懸念されます。外来植物対策の一助にはなると思いますが、以前石狩湾新港でチップで飛砂防止をして海浜植生を植えたところ、砂が止まったせいか外来植生が繁茂してしまいました。

ここにも緩衝地帯に倒れたマツのエリアが残されてました。
2013_0522_163129.JPG
もしかしたら名取ハマボウフウの会で管理していた保全地なのかも知れません。以前名取ハマボウフウの会の方にお会いした時に、国交省が工事用道路から外してくれた、と話してましたので。
そこには嬉しいことにやはり海浜植生が残っていました。
ハマボウフウです。
2013_0522_163002.JPG
ハマヒルガオも一輪だけ咲いていました。
2013_0522_162200.JPG
ちょっと内陸ですが、センダイハギも満開でした。
2013_0522_170736.JPG

続いて岩沼です。ここは防潮堤だけが遥か彼方まで完成していました。海岸林はまだでした。
2013_0522_153538.JPG
2013_0522_153323.JPG

内陸側のもともとの松林が少し残っていて、もともとの湿地っぽい環境が地盤沈下で更に湿地になってます。ここも盛土してマツを植える計画のようですが、他の方法がないか検討されてはいないようです。
2013_0522_154443.JPG
コリンゴも咲いていました。
2013_0522_154432.JPG

さらに南下して(住民が計画を検討している)亘理です。防潮堤工事が進んでいます。
2013_0522_142938.JPG
2013_0522_163446.JPG

少しハマヒルガオが生えてきています。
2013_0522_143510.JPG
実生もありました!
2013_0522_143945.JPG

海岸林の工事、盛土が始まってました。これだけの土は、どこから持ってくるのでしょう?
2013_0522_144158.JPG
2013_0522_144148.JPG

わたりGBPの方は、近所の山を買って、そこの土を根こそぎ持って行くから、山も荒れると話してました。利権の匂いプンプンですね・・・
付近はダンプだらけで、林野庁の海岸林の盛土運搬の他、水産庁の漁港工事、農水省の農地除塩工事、国交省の防潮堤工事と、大ラッシュでした。
2013_0522_145139.JPG

内陸にはやはり松林が残っていて、下層植生は、アカメガシワやケヤキなどの広葉樹とツツジなどの低木類、海浜植生も多様でした。ここは残してもらえるのか、ちょっとわかりません。
2013_0522_150057.JPG
2013_0522_145543.JPG

このままでは(もうすでに手遅れ気味だが)単調で、津波を乗り越えた残すべき生き物達にも莫大なダメージを与えた外来植生天国、しかも地元のパワーを活かさない遺産が巨大な税金で出来上がってしまうなあ、林野庁もそのうち叩かれるなあ、後戻りできないなあ、とあれこれ逡巡しながら、その先生や地元の方々と、よりよい方向への舵取りを僅かでもできないかと思い、海浜植生を導入する企画を作ってみました。

また広葉樹の導入の可能性について勉強したく、秋田県森林技術センターを訪ねました。
ちょうど日程的に良かったこともあったのですが、以前一度お会いしただけだったにもかかわらず、丁寧に海岸林への広葉樹導入試験地を案内していただきました。
秋田県は山形県とともに、以前激しい松枯れ被害にあったため、海岸林への広葉樹植栽の試みが早くから始められています。
11年前から行っているマツと広葉樹の植栽試験。秋田市向浜の現況の松林より海側で行っています。客土が最も効果的だが、マツが育った4年後くらいに広葉樹を導入するのが良いとのこと。(一方北海道の少積雪地帯では、客土が凍って寒乾害で枯死するとの研究成果がある)
向浜2013_0521.JPG
広葉樹の種類は、イタヤカエデ、ケヤキ、カシワ、シナノキの4種

やや北に行った潟上市。1970年に県が、内陸の農地を守るために荒れた海岸、幅500~1500mを買い取って、新潟まで来ていた松枯れに備えて、マツと広葉樹を植栽したとのこと。中はもうすでにすっかり森の様相で、イタヤカエデの実生や鳥散布の低木類も更新しており、(最近カイガラムシの被害がひどいとのことだが)立派なものです。
潟上2013_0521.JPG

マイヅルソウの群落が綺麗でした。
潟上2013_0521_113420.JPG


参考までに仙台空港の近くにM先生が指導され、TVなどにもよく紹介されている千年希望の森です。
千年希望2013_0522_160657.JPG
立派なものです。

タブノキが枯れていました(´Д`;)。
千年希望2013_0522_155850.JPG

防潮堤に繋げて、防潮堤より高い盛土を築いて、最前線で実施することが決まったとのこと。見ものですね。
まあ悪いことではないですし、税金つぎ込んで大規模一斉にやるとは思えないので、傍観しておきましょう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。